『LIFE!』 ★★★★
脚本&製作:スティーヴン・コンラッド
監督・製作:ベン・スティラー
出演:ベン・スティラー、ショーン・ペン、クリステン・ウィグ、ほか
※ネタバレちょっとだけ注意※
友人が当選した試写会で見ました^^
とても面白かったです。
単調な毎日を送ってる主人公が、あることがきっかけで行動を起こし、人生を変える――という、大雑把にいったらそんな感じのお話。
不器用で、臆病で、なかなか行動に移せず、「こう言えたらいいのに」「こんな風に行動できたらいいのに」と空想ばかりしてしまう……
わかる、すごいわかる。
とくに空想のシーンなんか痛々しいというか、恥ずかしいというか……
好きな女性の飼ってる犬が、空想と現実とで犬種が違うっていうのが地味に痛くて(笑)、でも話が淡々と進むところがすごくリアル。
行動を起こすきっかけになった出来事というのが、働いている会社の雑誌「LIFE」が次の発刊で最後となり、主人公もリストラ候補になるだろうというとき、カメラマンから送られてきたネガのひとつが何故か紛失していたので、それを探しにカメラマンの元へ行く――というもの。
主人公は写真管理という仕事に長年就いているわけですが、周りからは地味と思われる仕事でも、主人公にとっては誇りを持っていて、その誇りがあるからカメラマンを探しに行く、という行動理由が良かったし格好いいとも思いました。
格好いいと言えば、その問題の(?)カメラマンがかなり格好いい。ちょろっとしか出てこないのに(笑)
かなり有名で腕のいいカメラマンらしく、しかも冒険家で一所にじっとしていないという。
実は主人公とは直接は会ったことがないらしい(?)。でも、主人公とは手紙? メール? のやり取りはあったり、主人公の気づかないところで主人公の周囲に出没していたり……
直接会ってはいないけど、互いに互いの仕事に対し尊敬の気持ちを持ってたりするところが、なんだかとても良かったです。
今回、主人公が探しに来たことでやっと出会えたわけですが、互いに敬意は持っていても互いを知ってるわけではない、というのが出会ったところのシーンで伝わってきて、二人の不思議な関係が面白いなと感じました。
再会してやっとネガの行方を知ることができるわけですが、それによって相手の一面を互いに初めて知ったんだろうな、と。
というか、私はてっきりカメラマンは主人公がどんな人物か知っていて、わざと探しに来させるようなことをしたのかと思ってたんですよね。
そうじゃないと知って、二人が初めて会うシーンを見て、「わかり合う」ってこういうことなんだな、と。
主人公の好きな人に対する純粋な想いにも好感が持てます。
カメラマンを探しに行く道中で、勇気が必要な場面で、空想を交えつつ好きな人のことを想う主人公。
本当に純粋な気持ちで彼女のことが好きなんだなと伝わって来ます。
その空想も、次第に現実との境がなくなるというか、行動を起こしてるから空想しなくなってるのかなってことが、寂しいような良かったような(笑)
あのシーンは結局、空想だったのか現実だったのか、ってところがひとつあるんですが、どっちだったんだろうなぁと少々気になります。
でも、そのシーンが一番、空想と現実の境が無くなってるところかなとも思うんですけどね。
そして最後のシーン。
最終号の表紙を最後に見せてくれるのだろうと思ったら期待通りで、どんな写真だったんだろう、キレイな風景? それとも意外なもの? と思っていたら……
表紙を見た瞬間ハッとして、それから胸がスッとしました。
「頑張ってる姿は誰かが見てる」そう言われてる気がして、コツコツと陰で頑張ってきた主人公の頑張りが報われた瞬間だっただろうなと思うと、本当に良かったなと思えましたし、その報われる瞬間を手繰り寄せたのもまた主人公の努力なんだなと。
とてもスカッとする終わり方で気分爽快でした。
そんなわけで、予告で感じたようなスピード感はなく、意外に淡々としてる雰囲気ではあったし、大雑把に見ると在り来たりなストーリーだと思えなくもないんだけど、でも私には最初から最後までとても楽しく見れた映画でした。
ただ、あまり期待しすぎると肩透かしを食う恐れがあるので、これから見る方は期待しすぎず、肩の力を抜いて意気込まず見て欲しいなと思います。
