『テッド』 ★★
監督・脚本・原案:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・キュニス、セス・マクファーレン、ジョエル・マクヘイル、ジョヴァンニ・リビシ
「クマがしゃべる。しかもオヤジ」という感じの宣伝から少々気にはなってましたが、映画館で見るほどでもないかなぁとも思ってました。
ところが、テレビの宣伝で「意外に感動する」と聞いて、やっぱり見てみたいかなぁと思ったのでした。
あの愛らしいクマの姿と、でも中身はオヤジっていうギャップと、「意外に感動」するかもしれない内容に興味がわいたんですね。
んで、実際に見てみた感想ですが…微妙!! です。
下品だとか下ネタだとか、ある程度は予想してはいたんですが、いやはや予想以上でした。
面白い部分もあったんですけど、笑えない部分もたくさんありました。
とくにぬいぐるみのクマと人間の女性の関係が成り立つところに引きました。
「下ネタちょっとくらいなら…」と私と同じように考えてる人は、見るか見ないかもう一度考えてみた方がいいかも知れません。
ストーリーの方ですが…
主人公が幼いころ両親からクマのぬいぐるみ(テッド)を貰い、少年が「テッドと話ができたら…」と祈ったことで本当にテッドが生きて動き出し、それを隠すことなく世間に公表して有名になり――時はあっという間に過ぎて主人公が大人になったところから話は再開されます。
テッドはテレビに出るほど有名になったみたいですが、すぐに飽きられたようでその後はクスリ漬けに…ということのようです。
なんですが、そこの辺りをあっさり流されてしまったので、テッドがどういう過程を経てあんなにやさぐれてしまったのか、推察することはできても腑に落ちることはないんですよね。
テレビ業界であんなことこんなことあったんだろうと思っても、そもそもテッド自身の性格がどんなものだったかほとんど語られていなかったので、自分の身に起こった出来事をどのように受け入れたりしたかも想像できないし、どんなことが起こってあんな性格になっちゃったのかも理解できない。
映画の最後の方は確かに感動する方へ持って行ってましたが、感動ということならテッドがどうしてあんな風になったのかも、もう少し詳しく見せるべきだったのではと思います。
でなければ、「可愛いクマの外見なのに中身はおやじ」というギャップの面白さに頼っただけのコメディです。
コメディだからそれでいい、とも言えますが、テッドの変化の過程があるのとないのとじゃ、感動の深さも違ったんじゃないかなと思うんですよね。
もしくは、大まかなジャンルで言えばコメディのはずなのに、最後で変に感動の方へ話を持って行ったのが微妙だったのか…
もう少しコメディ色を貫いてれば、また感じ方は違ったかも知れません。
とにかく、テッド自身の“人格”がもっと感じられたら良かったなと思います。
見終わってから「残念だな」と思ったのは、どうしてここまで下品でブラックユーモア(?)が必要だったんだろうな、ってことです。
アメリカではこれが普通かも知れないし、これが好きな人は本当に面白いと思うんだろうと思います。でも、自分には下品な部分や下ネタやブラックユーモアが、あそこまで必要だったとは思えないんですよね。
これが監督・原作者の持ち味であり個性だと言われればそれまでですが…
あとは…
・ネタがたぶん日本人(と若い人)には分かりづらい、かも?
・コメディなのにクマのぬいぐるみと人間が本気で、しかも普通なら大怪我するくらいの喧嘩シーンにドン引き。
・テッドが最後に昇進したのはわかったけど、主人公の昇進が結局どうなったのかわからなかったのが不満。(聞き逃しただけかも)
・合法なのかどうなのか(たぶん違法?)、クスリを当たり前のように使用してる描写が自分は受け入れられない。
・以前から思ってたけども、アメリカのコメディはあんまり笑えない。自分には合わない、と改めて思う。
・自分は字幕で見たんだけど、吹替えが有吉さんだとか。有吉さんは嫌いじゃないですが、キャスティング(?)する奴らはいい加減、声優業を舐めんなって言いたい。素人の声あて聞かせられて物語に集中できるかっつーの。
…こんな感じです。
悪い部分ばかり書きましたが、笑えるシーンもありましたしクマのぬいぐるみが動く様子は愛らしかったです。
ただ、自分としては同じような題材(クマのぬいぐるみが動く。でも中身は…なギャップ)で下品・下ネタ・ブラックユーモアをもっと押さえた感じのコメディで、もう一度作って欲しいなと思いました。
