『そして父になる』 ★★★
監督:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、ほか
予告を見てると次第に気になり始め、どこかで賞を取ったというのを聞いて見てみたいと思うようになり、期待しながら見た映画でした。
そして、期待しすぎたせいか、見終わったあとでは「思ったほど感動しなかったなぁ」と思ってしまいました。
子供の取り違え問題ということで、考えさせられる内容だなとは思います。
自分も見ながら、それぞれの心境を考えつつ、みんなどう結論を出すのだろうってそればかりでした。
そういえば、あまり端的な気持ちを伝えるセリフってなかった気がするので、「今この人はどう思ってるんだろう」って度々考えてた気がします。
想像力がかき立てられるし、余計にいろんなことを考えさせられるので、そういった点で映像(情景)とセリフのバランスが良かったんじゃないかなと思います。
あと、子役の子の演技が演技してる感じではなく、ごく普通にしているところを映してるように見えて、子供なりのたどたどしさはあるけども、わざとらしい演技っていうのがなくて良かったです。
演技でいえば、他の役者さんもみんな良くて、野々宮夫妻とか斎木夫妻の極端な雰囲気の違いや生活環境の違いが、立ち居振る舞いでも見て取れて面白かったです。
ただ、野々宮夫妻の方は生活感が薄いなーとは思いましたが。あまりにも上品すぎて、エリートな旦那さんのいる家庭ってこんな感じなんだなぁとは思いましたが、それでもキレイすぎて窮屈そう…と。
逆に斎木一家は自営業の子沢山で家計苦しそうってところが、なんだか自分にとってはリアルに感じます。
最後はどうだったかな。
野々宮父が息子と和解して、斎木家に一緒に戻る、というところで終わってたかと思いますが、結局どうしたのかなとはっきりとは言ってなかったような…
元の通りに(取り違えたままの通りに)戻った風ではありましたが、それで良かったんだという描写はないし、和解したと言っても最後息子は(記憶違いでなければ)何も言ってないし、本心では元の家に戻りたいと思ってるのかどうかも分からない。
野々宮一家は大丈夫なのだろうかと、ちょっと不安を残すような終わり方だったかなと。
問題が問題なだけに、簡単に答えを出せるものではないというのは分かりますが、完全ノンフィクションでなければもう少し明確にして欲しかったかなと思います。
タイトルは『そして父になる』なのに、どうやって父になったのかなって自分は読み取れなかったのが、残念だったかなと思います。
