『第9地区』 ★★★
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッドほか
宇宙船が地球上で故障し、南アのヨハネスブルクにエイリアンが大量に降りてくる。
彼らは地上の第9地区と呼ばれるところで隔離され移り住むことになった。
28年後、彼らと人間との間で争いが絶えず、彼らを第10地区へと移すことになったが――
まず、これから観る人に向けて言うことは、食べ物を食べながら観ることはオススメできません!ということ。
私はふやけたフライドポテトを食べながら観てしまって、途中で気持ち悪くなって何度出て行こうと思ったことか…
実際、最後の方でトイレに行きたくなったので、トイレに立って時間をかけて気持ちを落ち着けました

さらに、観終わったあとに思ったことは、「予告詐欺だ!」と。
短い予告では宇宙人にモザイクがかかって、ちょっとコメディっぽく紹介されてたように見えました。
そんな気持ちで観に行ったら、見事に裏切られて「勘弁してくれ」状態でした。
PG12となってたんで、おかしいなぁとは思ってましたが(^-^;)
ただ、ストーリー自体は良かったと思います。
途中ひたすら気持ち悪くて、私的に評価は低くなってしまいましたが、語られてる内容はいろいろと考えさせられます。
映画の概要を言えば、「人間とエイリアンの反発」とか「人間によるエイリアンの迫害」とかそういったものになるんですが、実のところ最初から見てて伝わってくるのは政治とか人種差別とか、そういう人間社会を投影されてる映画なんだろうなと。
それでも、いろんな意味で「答え」というのが、この映画の中では明示されていないようにも思います。
主人公の人間の男性とエイリアンはあの後どうしたんだろうか、というのも描かれてませんし、エイリアンを隔離・強制収容所に移住させることが「人権侵害」(だったかな?)と訴えてる人たちがいましたが、そういうことに対する答えもない。
軍(?)の中でエイリアンに対して、明らかに差別的な仕打ちをする者もいたし、裏ではかなりエグイこともしていたけど、そういうことをしていた人たちが争いの中で死ぬことはあっても、社会的に明るみになって…というのは確かなかったような(?)気がします。
(この辺は精神的にキツかったので記憶が曖昧ですが

もしかしたら、そういった「答え」というのは見る人によって変わるのじゃないかなと思ったり。
差別的な態度をとる人や、無抵抗なエイリアンに対して酷いことをする人、あるいはエイリアンの武器を独占しようとする人など、そういう悪は悪として…
映画の中で描かれるエイリアンは、一部には知能の高い者がいたけども、多くはゴミを漁ったり暴力的だったりで、そういうエイリアンがある日突然現れたら、自分たちの生活を守るために警戒心むき出しになっても仕方ないような気はします。
エイリアンにしか使えないけども、かなり強力で高度な武器を持っていたし、人間よりも身体能力は高いように思えました。
そういうエイリアンが隔離されることに対して、人間側が「人権侵害だ」と訴えることがどうも釈然としないような…
無抵抗なエイリアンを足蹴にするようなことは、確かにやってはならないと思いますが、身近にあんなエイリアンが現れたら、私だったら絶対お近づきになりたくないですね。
あと、手法やラストが良かったと思います。
「擬似ドキュメンタリー」と言うみたいですが、所々インタビュー形式で語られたりというのも良かったし、最後で主人公は?エイリアンは?という疑問に対する答えはなかったのに、それに対する不満を感じることは私はなかったです。
むしろ最後の映像を見て、本当のところは分からないけど納得した、という感じです。
まぁ、終わりが良かったので、評価はもっと上げてもいいのかなぁと思うんですが、やっぱり私には気持ち悪すぎました

こう…見た目のエグさだけじゃなく、精神的に追い込まれるようなエグさがあります。
地下で行われてる実験とか、主人公の置かれる現状とか、エイリアンとのやり取りとか、ギャング(?)がエイリアンの武器に執着する様とか…
残念ながら、もう思い出したくもないし、二度と観たくないです
