『古典部シリーズ』(小説) ★★★★

古典部シリーズ』(小説)

著者:米澤穂信
出版:角川書店


『氷菓』

『愚者のエンドロール』

『クドリャフカの順番』

『遠回りする雛』

『ふたりの距離の概算』



テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『クドリャフカの順番』 ★★★★

クドリャフカの順番

著者:米澤穂信
出版:角川書店


古典部シリーズ3作目です。
主人公たちが通ってる高校は文化祭が盛大で、3日~4日? 続くらしい。
当日、古典部は古典部で大きな問題をかかえ、
学校は学校で連続盗難事件が起きる。
古典部の問題を解決するためにも、ホータローは盗難事件の謎に挑む。

……と、こんな感じでしょうか。
古典部シリーズはホータローの一人称でしたが、
今回は一人称は変わらないものの古典部のみんなの視点で
交互に語らせるという形を取ってました。

だから、同じ出来事をそれぞれの視点から語ることが多く、
それでちょっと長いかなと思わなくもなかったですが、
それぞれのキャラクターの考え方とか語り口調とか、
ちゃんと書きわけが出来てて読むのが楽しかったです。

基本的に私はですます調で書かれる小説って
あんまり好きじゃないんですが、今回、千反田がですます調で
語ってたんだけどもそれが面白かった。
ちょっとしたお嬢さまって感じなのに好奇心旺盛で天然な感じで、
古典部シリーズを通してずっと千反田さんの一人称だったら
ウンザリしたかも知れないけど、この作品で交互に出てくるので
ウンザリすることもないし楽しめました。


たぶん、ミステリーとしても今作が一番面白かったと思います。
古典部の問題と漫画研究部の問題がどう関係するんだと思ってた……
というか、単に伊原が古典部と掛け持ちしてるから漫画研究部のことも
出てきてるのかと思ってたんですが。

あと、ホータローのわらしべ長者的な物々交換も、
今回の問題と関わりがあるなんて考えず、単に最後は何になるのかな
なんて軽く考えていたんだけども。

それが実は連続盗難事件とも関わりがあって、最終的にはすべて
一連の問題になるわけです。
ほぅほぅ、こんな繋がりが……と感嘆するばかりです。


ただ、伊原や漫画研究部の河内先輩や盗難事件の犯人の、
漫画に対する思いは聞いててすごく気恥ずかしかったです。
確かに自分もそういう思いは持ってたりするけども、
こうやって言葉にされると恥ずかしすぎる。
たぶん本気で度胸のある人には、ああいう会話って普通なのかも
知れないけど、現実にああいう話ができる人ってどれくらいいるんだろう。


ところで、この作品か前のだったか読んでるとき、
ふと「この小説には大人がほとんど出てこないな」と思ったのですよ。
遠まわりする雛』には出てきますが、
氷菓』にも『愚者のエンドロール』にも『クドリャフカの順番』にも、
ほとんど大人が出てこない。

必然性がないからなのか、それともわざと狙ってそうしてるのか、
主な登場人物の親や学校の教師なんて一番に出てきそうだけども出てこない。
出てこないからどうしたって感じなんだけど、何となく青春を
際立たせるような効果みたいなのがもしかしてないだろうか、と思ったり。
独特な雰囲気を増幅してたりしないかなぁ、なんて。
単に余計な部分を省いている結果と言えるのかも知れませんが。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『愚者のエンドロール』 ★★★★

愚者のエンドロール

著者:米澤穂信
出版:角川書店


いやぁ、探しましたよ、『氷菓』の続編。
やっとで手に入れた続編でした。

さっそく読むと古典部のみんなへ提示された謎に、
私も首を捻りつつ推理し、ページが進み終わりに近づく毎に
「最後はどうなるんだ」とそればかりが気になりました。

結局私にはわからなくて、今回は古典部以外の生徒も
推理を披露することになりましたが、
その推理を主人公のホータローが検討して出した答えに納得し、
最後にホータローが推理した内容に私は確かに「なるほど」と思いました。

ところが、(ネタバレしそうなのでこれ以上書けないけども)
まだその先があってハッとさせられまして、そこからまた
「じゃあ最後の最後はどうなるの??」と。
気がつくと終わりまでずっと引き込まれていましたね。


ただ、引っ掛かる点はいくつかありますが…
やっぱりネタバレになるので「続き」に書きます。


ネタバレにならないだろう引っ掛かりをひとつ書くと、
今回、入須という先輩がホータローの推理力(?)を見込んで
頼みごとをしてきた、という感じになりました。

前作の『氷菓』のときからホータローのそういうところが
周囲から注目される、という場面はありまして、
その度にホータローは否定するわけですが、
今回はそういう期待される→否定するという描写がなんか目について、
逆になんだか読んでるこっちがコッパズカシイ気分になりました。

入須に頭を下げられるところとか、
それを「高価な美術品」と言うところとか、
自分のことを「信じてみようか」と思うところとか…
そのひとつひとつは別々に見れば良い場面なのに、
最後の真相を読むと暗い気持ちになるんですよね。
そこだけ、ホータローが普通の高校1年生に見える、
と言えないこともないけども。


ところで、今回の謎解きにはシャーロック・ホームズが
キーワードになってるようでしたが、まったく読んだことのない
自分にはいまいちピンと来ませんでした。
これがわかってたらもう少し推理できたのかもなぁと思うとチョト悔しい。
どうやらシャーロック・ホームズはミステリ初心者の読み物らしいので、
気が向いたら読んでみようかなぁと思ったり。

私はあまり進んでコテコテの推理小説を読まないんだけど、
やっぱりこういう有名な本のネタって小説でも漫画でも度々出てくるので、
いい加減それがわからないのもつまらないなと思うし。

この作品では一番最後のチャットが良かったです。
最後の千反田の言葉にすごく共感しました。

続きを読む

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

いろんな小説があるもんだ

言うほどたくさんの小説を読んだわけではないのだけども、
何が面白いかなと選ぼうとすると本当にたくさんの本があって、
それだけたくさんの作家がいるのだと思うとなぜか感嘆してしまいます。

自分は書店へ行ってぶらぶらしてると――あるいは「必要なものだけ買う」
という強い意思を持っていないと、漫画でも小説でも実用書でも
つい何の気なしに買ってしまうんですね。
今までそれでどれだけ散財してきたか……

そんなわけで、ここ数年ほど本に対して財布の紐をキツめに縛ってたのです。
(他のとこでダダ漏れってのは内緒です)

したらば当然、新しく面白い作品や作家さんを発見することが
あまり出来ませんでした。
言い換えれば、やろうと思えば読まずにいることも出来る、
ということかも知れませんが……

でも、やっぱりそれがつまらなくなってきました。
趣味は読書なんて言いつつ、家にあるのをくり返し読むばかりで
読書から遠ざかりつつある自分が恥ずかしくなったのかも知れません。

また、店頭やネット、テレビなどで宣伝されてる作品を見て、
自制するため「あれは買ってまで読むものではない」と
言い聞かせてたんですね。
無駄遣いをしないためには、そうやって自制することも必要ではありますが、
そう言い聞かすごとに心が荒んでいってはいないだろうかと……

何を聞かされても楽しみを見出せず、次第に好奇心がなくなっていって、
ついには何が楽しいんだろう? なんて虚無感まで覚えてしまう……
なんてのは考えすぎとしても、たまにそんな恐ろしく無感覚に
陥ってしまうことがあります。(怖いですねー)

そんな新鮮味のない無感動な日々から脱却するため、この数週間、
面白い小説はないかと探し求めていたわけですが。
実は去年の12月に2冊ほど、たまには、と思って書店をぶらぶらして
気になるのを買ったりはしていたのです。

冒頭を読む限りでは面白そうだなと確かに思いました。
ところが、いざ読んでみるとそこまで面白くない。
2冊とも途中でやめたくなるくらいで、何となく「こんなはずはない」
みたいな気持ちになってしまったんです。
じゃなきゃ自分は小説を楽しめなくなってしまったのかと。
「これではいかん!」と興味の引かれる作品をメモして全部読もう、
と思ったんです。

まず最初に読んだのが『氷菓』(米澤穂信・著)です。
自分のお気に入りの小説みたいに没入したりするほどではないにしても、
なかなかに面白くて久しぶりに良い読書ができた気がしました。

次に『ステップファザー・ステップ』(宮部みゆき・著)を読み、
これは文句なしに面白くてお気に入りの小説になりました。

それから『氷菓』の続きの『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番
遠まわりする雛』を読んでいくと次第にはまっていって、自分はまだ
小説が読めるんだと思うと同時に、面白くないと思う小説の傾向が
何となくわかって来ました。
(面白いと思える要素はいろいろあって、さらに長くなるのでまた今度)


面白くないと思う小説の傾向ですが…

ひとつはベタ甘でいかにも青春って感じが前面に出てて、
歯が浮くようなセリフや文章が多いもの。
ベタでも甘でも青春でも、それとなく盛り込まれてればいいんだけども、
そういうのがいかにもって感じで前面に押し出されてるとちょっと……

もうひとつは人と人との関わりが希薄すぎるもの。
というか登場人物の魅力を表しきれていないもの?
う~ん、なんて説明したらいいのかわからないのだけども。
「あの人はこの人のこと、こう思ってるんじゃないか」とか
「あの人はあの時、あの人に対してこんな風に感じてたのかも知れない」とか
そういう登場人物の心理に対して想像を掻き立てられるものがない、
そんな小説。

とりあえず以上の2点なんだけども、どちらの傾向にもそれに気づいた
原因となる小説があります。
でも、2作品とも「面白い」と言う人は当然いるんですよね。

私がそれを面白くないと思う理由はやはり、感性やあるいは好みとして、
もともとその作風が自分に合わなかったということ、
なんじゃないかなと思ってます。
他の人は「良作」として読めたのだから、そうなのだろうと思います。

何となく私は
「全ての作品を楽しめなきゃ“通”とは言えないんじゃないか」
と思って、別に“通”を目指してるわけではないんだけども、
読んだものを楽しめないことが悪いことのように感じていたんですね。

だけども、やはり感性とか好みとかはどうしても偏るものです。
すべてのことを楽しめる人は尊敬するけども、やっぱり小説は
娯楽なんだから好みにあう面白い小説を私は選んで楽しみたい。


そんなわけで、久しぶりに小説を読み始めてみれば、財布の紐だったり
楽しまなきゃという思い込みだったりに縛られて、もしかしたら身動きが
取れなかっただけだったのかなと。
またこれから、自分が面白いと思える作品をたくさん発見していきたいなと
思います。

テーマ : 本に関すること
ジャンル : 本・雑誌

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