『プリンセス・トヨトミ』 ★★
原作:万城目学
監督:鈴木雅之
出演:堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、中井喜一、和久井映見、森永悠希、沢木ルカ
『プリンセス・トヨトミ』を観て来ました。
予告が面白そうだったので、“大阪国”という設定をどう最後に持ってくるんだろう、という不安みたいなのはありましたが、楽しみに観に行きました。
(以下、ネタバレあり)
前半は面白かったと思います。
会計検査院の3人のやりとりも面白かったし、それぞれのキャラクターに魅力があったように思います。
とくに、堤真一さん演じる松平(会計検査院副長)が良かったです。やっぱり演技がいいのかなぁ。
『容疑者Xの献身』のときも思った気がしますが、堤真一さんの演技は何の違和感もなく見れます。というか惹きこまれます。
あと、会計検査院のほかの2人もほのぼのしてる感じで良かったです。
この3人には、前半とラストで楽しませてもらいました。
あ、中井喜一さんの演技も良かったですよ。
ダメ父に見えて実は…っていう雰囲気とか、「いってらっしゃい」(←大阪弁で)ってひと言を言うだけでも、なんか幾つかの感情が伝わってくる感じで、ハッとさせられましたね~。
…で、肝心の物語ですが、これはもう何と言っていいやら

“大阪国”という大風呂敷を広げたものの、その国やプリンセスを守ろうという理由が父子との絆を守るためだけと捉えられかねない内容で、「なんだそれ」と腹が立って仕方ない。
確かに親子の絆は大事だし、原作だってそれがテーマのひとつなんだろうと思います。
だけど“国”と名乗る以上、なんというかこう…大阪国民としての愛国心が必要だろうと思うのですが。
なぜ大阪という国を守るか。なぜ大阪国民でいることに拘るか。なぜ大阪国でなければならないのか。
歴史を見ればわかる、とは思うものの、大阪国総理の言い分を聞くと父子の絆を守るためだとか、公にしてもらっては困るだとか…聞いてるとつい「国としての意見がそれだけ?」と思ってしまう。
しかも国の維持費として年間5億でしょ。それ日本国民の税金でしょ?っていう。それで「出てけ」とか、あんたよく言えるねっていう。
そんだけ言うならもういっそ国として、今からでも独立宣言しちゃいなよと。
ホントあの最後の方のシーンは見てて腹が立ちました。
私は最後のシーンのあたりで、もう少し“愛国心”というのを語ってくれるのかなと、見ながら期待していたので本当に残念で仕方ないです。
表向きは父子の絆を語りつつ、実は裏テーマとして愛国心が見え隠れ…っていう感じでもなかったですしね。それがチラッとでも見えたら、もっと良かったんじゃないかなと思います。
あと、大阪国民が一斉に動き出し女子供は家に、男たちは府庁(?)の周りに集まり決起する場面があります。
それはいいとして、その理由というか、そうなってしまったことの原因がこれもまた「なんだそれ」で、都合が良すぎるというか、情けないというか…
どうして会計調査員がわずか1日でプリンセスを特定できたんだっていう疑問はなかったのか? と。
以上、なんか他にもいろいろ突っ込みどころはあったような気はしますが、この辺にしておきます。
ただ、どうやら原作とは随分違うようなので、原作の概要を読むとこれは原作を読むべきかもなと思います。
私も少し原作が読んでみたくなりました。
