『かぐや姫の物語』 ★★
監督:高畑勲
出演(声):朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、ほか
残念ながら、いろんな意味で自分には合わなかった作品だったなと思います。
引っかかった点は幾つかあるんですが…
ひとつはおじいさんかな。
声はいいんですが、かぐや姫のいろんなことに夢中に(ムキに)なりすぎ、というところが見ていて腹立たしかったり、痛々しかったりしたかなと。
生まれたばかりのときは近所の子供に張り合って声を上げたり、かぐや姫の気持ちも考えずに宴会だとか縁談だとか騒いだり…
とくに、かぐや姫の気持ちも考えずに縁談が来たことを喜び、一人だけ騒ぎ立て、そして本当にかぐや姫の嫌がる気持ちがひとつも分かっていないらしい様子にもうびっくり。
高貴な方々から縁談が来て喜ぶ、というのは、あの時代には仕方がないにしても、かぐや姫が自分たちの元に来てあんなに喜んで、あんなに大切に育てていたのに、かぐや姫の気持ちには気づかないのかと。
もうひとつは、かぐや姫の考えてることが今一歩理解できなかったこと。
「おじいさんが、かぐや姫の気持ちに気づいてない」と書いたけど、実は自分もよく分かってない…
子供の頃に住んでた村に戻りたいんだろうな、というのは分かりますが、それをおじいさん、おばあさんに訴えることはできなかったのかなと。
あの時代じゃ無理なのか…とも思うけど、もとはおじいさん、おばあさんも村で生活してて、かぐや姫も村の子供たちと成長していて、都の貴族とは違うと思うんだけど、都の貴族の生活にあっさり染まったみたいに見えて…説明できないんだけども何だか釈然としない。
あと、かぐや姫が美しくない。
あの時代はうわさを頼りに(?)姫が美しいとかそうじゃないとかあったらしいので、周囲には美しいと言われながら、かぐや姫は実は絶世の美女というわけではなかったという設定なのかは分からないし、あーいう絵柄だから私は美しくないと思っただけで実は美しいのかも知れない。
あの絵が好きじゃない、というのはありますし、かぐや姫を見た男性が惹きこまれるというシーンもあったので、やはり美しいのでしょう。私は納得できませんが。
それから、かぐや姫が宴会(?)で侮辱され、屋敷を抜け出して野山を駆け抜けるシーンがありますが、まるで鬼婆みたいで怖かったです。
さらに、最後の方でかぐや姫が捨丸と(不倫で)駆け落ちみたいな行動を取ろうとしたのが何とも…
かぐや姫は知らなかったとはいえ、そうとも取れるような描写があることが残念だったかな。
というか、かぐや姫が好きになるような男性(捨丸)が、妻子を置いて駆け落ちするような無責任な男だということが残念と言うべきか。
あの2人で空を飛ぶシーンは感動的なシーンなんだろうが、全然感動できなかったのにはホントびっくりです。
あと、どーでもいいんだけど帝の顔が…

他にも気になる点があったはずですが、忘れてしまったのでこの辺で。
逆に良かった点は、かぐや姫のお世話をしていた(?)女童? が可愛かったのと、月からの使者がやってくるシーンが素晴らしかったこと、です。
不思議と月から使者が音楽を奏でながらやってくるシーンは気持ちが高揚しました。なぜそうなったのか自分でもわかりませんが、あのシーン、あの音楽はとても良かったと思います。
以上、自分はいろいろと楽しめなかった映画で残念でした。
ただ、古典「かぐや姫」を長編アニメーションで、完璧なひとつの作品にしたことは、素直にすごいなと思います。
あの雰囲気を出すのはジブリじゃなきゃ出来なかったかも、と思ったり。
次回作に期待したい。
