『残穢』 ★★★

『残穢』

著者:小野不由美
出版:新潮文庫


映画を観てから原作を読みました。
それで正解だったかなと思いました。
物語は長く淡々と続くのですが、映画を先に観ているので
情景を簡単に思い浮かべることができて助かりました。

同じ作者さんですから、『ゴーストハント』に似た雰囲気はあります。
ただ、一人称の主人公は「心霊現象に懐疑的」と書いてる通り、
不可解な現象を「こうではないだろうか」と
いろいろな現実的解説をするんですよ。
「心霊現象を解決しよう」ではなく、そこを懐疑的に見つつも
建物や土地などの過去を遡って調べて行ってるので、
何だかもどかしいなぁという感覚はあります。

今、思い返してみてどこが怖かったのかと考えてみても、
はっきりとした説明がなぜか出来ないんだけども、
でも、読んでるときは夜に電気を消して寝るのが怖かった、
と思うくらいには私は怖かったです。

結局、穢れに触れると感染してしまい、
感染した人で鈍感な人は何もないけど、敏感な人は見たり聞いたり、
あるいは問題を起こしたりする。
そして、そこで亡くなってしまうとまた穢れになり、感染源に…

この本の中でも触れていますが、『呪怨』と同系統の話ですね。
でも、『呪怨』よりはひっそりと忍び寄ってくる恐ろしさがあります。

「穢れ」に感染して広がって重なってまた感染して…
ってなると、世の中「穢れ」だらけじゃんって
つい思ってしまうんですが、でも(特別な怪談スポットじゃなくても)
「ここは何か変だな」と感じることって稀にあると思う。
みんながみんな四六時中それを感じるわけじゃないけど、
それぞれがふとした瞬間、それぞれの場所で何かを感じる、みたいな。
これはそういう話じゃないかな、と思う。

その点でいえば、「誰にでも起こり得る恐怖」ということで、
より身近に感じてしまいゾッとする、という怖さがあるな、と。

ただ最後、怪異が起きても「世界をどう捉えるか」で、
その怪異が現実かそれとも虚妄なのかは分からない、との結論に
やっぱりもどかしさを覚えてしまいます。
怪異を認めろってわけではなく、そこに残った人の思いとか魂とか、
そこら辺を意識した感想が欲しかったかなぁと思うんですよ。
ただの「現象」として考えるんじゃなくて。


ところで、ゾワッて鳥肌が立って感動することが
無かったのでちょっと残念でした。
一番ゾワッてしたのは、大家さんのところに深夜、
梶川氏が現れて謝罪してきたところですね。
「生きた人間を死に追いやろう、引き込もう」ではなく、
こういう生前の彼らの人柄や関係を表したような現象が、
人間味があるし身近に感じられてゾワッてすると思う。
そういうゾワッてくる長編小説を読みたいなぁ。

テーマ : 読書感想
ジャンル : 本・雑誌

『鬼談百景』 ★★★

『鬼談百景』

著者:小野不由美
出版:角川書店


小野不由美版『百物語』的小説です。
小説というか、読者から不思議だったり怖い話を募集して、
それを文章に起こしたもの、なのかな?
最近、映画化された『残穢』を読むと、そうなのだろうなと。

『鬼談百景』と『残穢』は微妙に繋がってるというか、
『残穢』は主人公が小野不由美さん自身なのかなと読み取れます。
はっきりとは書かれていませんが。

それはともかく、私は『鬼談百景』を読み、映画の『残穢』を観て、
原作の『残穢』を読んだんですが、正解でした。
『鬼談百景』から読むと、『残穢』を観ていたときに
「あの話をまとめてるとき、こんな事があったのか」っていう
現実感が増してたような気がします。(事実はさておき)
それから、映画を先に観たので「原作とこれだけ違う」と
比べることがなかったので、良かったかなと思います。

そんなわけで『鬼談百景』の感想だけども、
正直に言うと、あまり集中して読めなかったので、
印象に残った話が幾つもない…
たまにゾッとするものはあるんだけども。

どうしても、こういう百物語っていうと
私の中では『新耳袋』を想像してしまうんですよね。
あれが本当に怖くてゾッとして、たまに感動するという
素晴らしい怪談本なので、それと比べてしまうんだろうなと。

怪談としての読ませ方って、『新耳袋』が完成形だと
私は思うのですよ。
そこ行くと小野不由美さんのは長編の書き方が残ってるので、
一篇読み終わるごとの物足りなさがすごいある。
「もういっそ長編で読ませてくれ!」っていう(笑)
『残穢』を読みながら「やっぱこれだよなぁ」と思ったもんです。

というわけで、「怪談」としてどうかなぁとは思うんですが、
『残穢』でより恐怖を楽しむためには、『鬼談百景』から
読むのを私はオススメしたいです。

テーマ : 読書感想
ジャンル : 本・雑誌

『過ぎ去りし王国の城』 ★★★

『過ぎ去りし王国の城』

著者:宮部みゆき
出版:角川書店


家のおつかいで銀行に立ち寄った主人公・真が、
そこで拾った「絵」によって起こる不思議に、
文字通り首を突っ込んだり巻き込まれたりするお話――

と、簡潔に言えばこんな感じです。
全体を通して、ちょっとどんよりとした空気が流れていて、
それは最後まで変わりません。

「絵」が縁となって同級生の城田と、漫画アシスタントのパクさんと
度々行動するようになります。
その城田さんもパクさんも、重い悩みを抱えているんですが、
珍しく主人公の真はそういった悩みは無さそう。
だからこそ、最後は衝突することになるんだけども。

あんまり書くとネタバレになるので書けないんだけども、
「過去を変えたい」という思いが根底にあるのかな、と思う。
でも、“そんなこと”をして変えて嬉しいのかな? という
疑問が自分にはあるので、ちょっと共感しづらい。

主人公は変えたい過去もないので、城田さんとパクさんを
責めるんだけども、これもまたかなり攻撃的なように見えたので、
思いやりはないのかとも感じたり…

「絵」の作者に至っては、それをしてどうなるのかと。
私は「絵」の作者が「今」幸せになる現実が見たかったなと思う。
かなり酷なことを言っているのかも知れないけども。

そして最後。
城田さんの決意みたいなのを聞くと、
どうしてそっちに行ってしまうのかなと悲しくなる。
でも、それに対する主人公の返しが良かったから
それで救われたかな、と思う。


全体を通して重い雰囲気があって、内容的にもちょっと
首を傾げるところもあったので、実は途中、
「これ本当に、あの宮部みゆきさんの作品かな?」って
表紙を確認したことがあるんですよね(^^;
(あとでアマゾンのレビュー見たら、同じことを書かれてる
人がいたので驚きました)

それでも、文章は読みやすいし雰囲気もすごい伝わって来て、
パクさんの過去の話では泣きそうになったし、
最後の方の作者と対峙するシーンでは自分の命も削られてるような、
何とも言えない苦しさを覚えました。
それはやっぱり、文章が上手いからだろうな、と思います。

今は『ブレイブ・ストーリー』を読んでます。
読み終わるのが楽しみです

テーマ : 読書感想
ジャンル : 本・雑誌

『新フォーチュン・クエストⅡ』 5巻 ★★★★

新フォーチュン・クエストⅡ』 5巻

著者:深沢美潮
出版:電撃文庫


『あのクエストに挑戦!』の下巻です。

シロちゃんが居なくなってどうしたー!?ってところで、
上巻は終わってましたが、すぐにシロちゃんは見つかりました。
しかも人間の姿で!!

えー、ちょっとイメージが……と思ったのはここだけの話(笑)
だけども、自分がそう思ってたからか、人間になったシロちゃんの
言動を見てどんどん疑心暗鬼に。
ルーミィも人間のシロちゃんに対して、とても人見知りしてたし……

ところが、下巻の最後でついにパステルやクレイ、トラップも
「本当にシロちゃんなのか?」という疑いに目を向けることに。
ほのぼのしてたところから、このゾゾッと来る感じ!
う~ん、さすがです。


さて、クエストの方ですがレベル7のクエストは、
残念ながら時間切れで強制終了してしまいました。
さらに、ヒュー・オーシに頼まれていた「疾風のハンドル」は
最高レベルのクエストじゃないと見つけられないというので、
翌日に再挑戦することに。

最高レベルって大丈夫なのかな?って思ってたんだけども、
そこまで大変そうでもなかった印象。
毒の罠があったり、アースドラゴンに食べられそうになったり、
というのはあったけども。

あ、でも毒のせいでトラップは両目をやられたんでしたっけ。
ジョーイムゥが居て良かったなぁ、本当に。
僧侶というかヒーラーは必要だよねー。
ジョーイムゥはこの先も居たりするのかな?
パーティとしては居た方がいいけども、今まで新しい仲間が
パーティとして入ったことはないから、可能性は無いのかも。


あとがきで『ゼルダのオマージュ』と書かれていたんですが、
ラスボスは出ないけど、何となく分かるなぁ。
「あそこにアイテムがあるのに~」とか、
「どうやったらこの問題がクリアできるんだ~」とか、
『ゼルダの伝説』はそういうのありますよね。


今回はパステルのマップが大活躍です。
上巻で「マッパーなのに」って怒られるシーンがあったんですが、
それがあったからこその今回の活躍かなと思いました。
パステルも確実に成長してるんだなぁ。


さてさて、最高レベルのクエストをクリアしたし、
「疾風のハンドル」も手に入れたし、次の冒険は――と、その前に
最初にも書いたけどもシロちゃん問題が勃発です!
シロちゃんは本当にシロちゃんなのか?
シロちゃんじゃなかったら本物のシロちゃんはどこに!?
次の巻を読むのが楽しみで仕方ありません^^

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『新フォーチュン・クエストⅡ』 4巻 ★★★★

新フォーチュン・クエストⅡ』 4巻

著者:深沢美潮
出版:電撃文庫


2015年8月現在、新巻を買ってはいるのですが、
改めて4巻から読んでます。
で、そういえば感想書いてなかったなぁというわけで、
今頃、感想を書くに至ってます。


副題『あのクエストに挑戦(上)』ということで、
ヒュー・オーシからもらったクエストに挑戦! という回。
クエストらしいクエストって久しぶりでしたっけ。
ところが、そのクエストはヒュー・オーシ(プルトニカン生命)が
スポンサードしていた!?

何というかヒュー・オーシが出てくると商売商売で
冒険の雰囲気が台無し(笑)

それはともかく、新しいキャラクターが登場したわけですが、
それが長身でグラマーだけどおしゃべりな女性、ジョーイムウ。
僧侶だけど体格も良く力もあるらしい。

グラマーだったら男子が放ってないんじゃないかと思ったんだけど、
体格が良すぎるせいか、それとも男っぽい性格だからか、
あるいはおしゃべりだからか、そういう対象にはならないらしい。

その「おしゃべり」のせいでトラップに怒られるわけだけど、
そんな(ジョーイムウから見て恐らく)クールなトラップに
ジョーイムウがもしかして……?! という展開。
ちょっと意外というか、ハラハラですね。

で、毎回パステルとトラップの関係やら雰囲気やらを
あーだこーだ言いつつ読んでるわけですが、もしかしたら
実はまだパステルが誰を意識してるとか決まってないのか!?
と今回読み返して思ってしまいました。

しかし、マリーナがいるしな……
やっぱりトラップしか考えられないんだけども。
そんなところもハラハラしながら読んでます(笑)


クエストの方も、毎度フォーチュンらしいほのぼのした感じ。
レベル7でどうやら死ぬほどのことはないらしくて、
安心して読んでたんだけども、パステルが罠に引っかかって
ルーミィと一緒にみんなと離れてしまって、しかもそのルーミィも
行方がわからなくて……という急展開が!

幸い、ルーミィはすぐに見つかったけど、今度は探しに行った
シロちゃんが居なくなってしまいます。
成長痛(らしきもの)が治まってきたらしいという話をしていたばかり。
もしかして誘拐!? それとも――

という所で上巻は終わり。
フォーチュンはいつも、ほのぼのしたところからドキドキハラハラ
させるのが上手いなぁと思います。
だから、いつも続きが気になるってのはありますよね。
これから下巻を読むのだけども、早く新巻が読みたいな^^


テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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